「ねえ、」
 急かす声が耳元に吹き掛けられ、思わずミナキの身体は震えた。マツバが嬉しそうに咽を鳴らす。ミナキは頬の温度が上がるのを感じた。

「…わかっていることを、わざわざ聞く必要はないだろう」
「大ありだよ」
 と、マツバは、自分の問いがわざとであることを否定もしない。御陰でミナキは、嫌でも自分の方が分が悪いのだと悟らないわけにはいかなかった。マツバは尚も相手を見つめたままだ。
 暫くどちらも喋らずにいると、マツバは痺れを切らしたのか、相手の耳を舐めたり、甘く咬んだりして遊び始めた。ミナキは最初こそ抵抗の色を見せるが、徐々に陥落し始め大人しくなる。布団を掴んで目を固く瞑り、どうにか快楽をやり過ごそうとするその仕草が、マツバの眼から見ると、堪らなく可愛い。

 

(我慢、できない)

 

 マツバは横を向いている肩の、床より遠い方を乱暴にねじ伏せた。俯せになったミナキの項に噛み付き身体をまさぐる。普段は滅多にない力任せの行為に、ミナキの声は自然引きずり出され、どこか媚びるような響きさえ感じさせるそれに、マツバの加虐心は益々煽られた。

 

「‥感じているのかい?」
 わざと弱い場所を衝いて返答を阻害する。
「あっ、…!」
「それは、どんな感じ?」
「っ…」
 手首で口を塞ぎ、ミナキはマツバを恨めしそうに見上げた。抑えきることのできない声が、相手の指の動きにあわせて小さく漏れる。
「やれやれ、何も答えてくれないんだなあ…」
 マツバは手を止めずに、からかうようにそう言った。
「そちらが、!私の‥」
 ミナキはそこまで言ってはっと口を噤む。
「……!」
「私の‥何?」
 微笑を浮かべながら尋ねるマツバにミナキはすっかり参ってしまった様子で、弄られ唾液に濡れた耳まで真っ赤に染めて黙ってしまった。緩くあいた口、熱っぽい息。マツバは親指で相手の唇を擦る。僅かに動いた体を、今度は仰向けに転がして、首筋から順に身体を味わっていく。

 

 

 

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