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『ホームヘルパーサービスの |
2003年9月12日
皆さん初めまして、和中 勝三(わなか かつみ)と申します。宜しくお願いします。
私の在宅療養生活の経過からお話したいと思います。(私個人の意見として聞いて下さい)
私は平成2年、体に異変を感じ病院通いが始まり、胃ろう(PEG)造設手術・気管切開・呼吸器装着を経て、平成8年8月から在宅療養を始めて、もう7年になります。
妻と母の協力を得て24時間介護してもらい、訪問看護ステーションから週3回・訪問入浴 週1回・リハビリ 週2回・歯科衛生士 週1回のケアを受けていました。
在宅療養二年目で父が亡くなり、それから妻が市場へ魚を仕入れに行くようになり、母に泊り込みで介護をしてもらうようになりました。その母も75歳という高齢にもかかわらず、24時間介護に頑張ってもらっていたのですが、急に腕に力が入らない、背中が痛いと言い出し、夜中に吸引で起こすと、なかなか起きられず、「とても辛い、もう介護をようしない」と言われ、訪問介護事業所に吸引ができる家政婦さんを探してもらいました。これがホームヘルパーにお世話になるきっかけでした。母の病名は末期の膵臓癌(すいぞうがん)で日に日に弱っていく姿を見て、私は可哀想な事をしたと後悔し泣きました。
丁度、「介護保険制度」が実施されるようになり、吸引してくれるホームヘルパーがいれば介護保険を使い、私は在宅で生き延びられると思い、訪問介護事業所に吸引をしてくれる人を数人紹介して下さいと、無理にお願いしました。吸引行為は法的に認められない事は知っていましたが、たとえ法律違反してでも命に変えられません。私の家庭が崩壊してしまいます。主治医と訪問介護事業所の方に理解して頂き、吸引を引き受けて頂いたお陰で、今の私がいると思っています。
私は意思伝達装置(パソコン)を使いだしてから、これから先いつまで生きられるか解らない命だし、自分の命は自分で決めよう、たとえ寿命が短くなってもいいから楽に生きようと決心し、健康管理を始めました。医師や看護師に解らない事も体で感じ訴えられる。パソコンを使えるようになり、本当によかったと思っています。今は身の回りのことは、すべて自分で管理しています。結構こまかいトラブルが多くあります。楽に暮らせているのはパソコンのお陰です。パソコンで「医療関係・同病者・友人・知人」とメールとFAXで交信しています。こんな便利な機械は他に無いと思います。その反面パソコンが使えなくなると死人のようです。
ホームヘルパーさんに吸引をお願いする時は、主治医に了解を得て、家族と私が責任を持って指導しました。せっかく指導し慣れた頃に辞めるホームヘルパーさんも数人いました。せっかく慣れてきたのに何故辞めるのかと腹を立てたときも有りました。診療所の看護師さんと訪問看護師さんもよく変わるから「介護マニュアル」を作り、新しい介護スタッフに読んでもらうと教えるのが楽になりました。「ここに介護マニュアルをコピーしてきています。ホームページにも載せています。」
在宅のALS患者だけ条件付きで家族以外の「ホームヘルパー・ボランティア」に吸引行為が認められましたが、「業」として認めないという、すっきりしない回答でした。一応、ALS患者は認められたものの「同意書」のマニュアルも作られず、7月になっても「同意書」作成の声も連絡も無いから、私・患者から訪問介護事業所へ要望として「痰の吸引実施についての依頼書」を作り、事業所とかわしました。(依頼書をコピーして持ってきています)
「ホームヘルパーの医療行為について」ALS協会患者団体が数年前から厚生労働省へ訴え続けてきましたが、いつも「ホームヘルパーには医療行為ができない」と頭から反対され、全然相手にしてもらえなかった。厚生労働省では看護協会の意見が優先されているような気がします。去年10月に全国のALS患者から署名を集め、それに筋ジストロフィー患者団体とウエルドニッヒホフマン病患者団体に賛同して頂き、17万人を越える署名が集められ、厚生労働省へ「家族以外の者が吸引できるよう」要望書を提出しました。関係者の熱意に押され、初めて坂口大臣の心を動かし、話合いの場が開かれる事になりました。「新しい看護のあり方に関する検討会」の下で、「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会」によってヘルパーの吸引問題の検討が始められました。(名称自体、いかに厚労省の官僚に熱意がないか、わかりますよね)
私達は今度こそはと期待しながら見守っていましたが、ホームヘルパーの吸引行為は「業」として認められないの一点張りで、職域に素人は踏み込ませないと言う感じがしました。
分科会の結論は「訪問看護」をもっと利用するように、複数の「訪問看護ステーション」を利用できるようにし、24時間巡回型訪問サービスや年間260回の訪問の実施に向けて努力すると言っています。訪問看護の充実と質向上の話が先行し「ホームヘルパー吸引問題について」なかなか話合いがされませんでした。
訪問看護の充実と質向上は人工呼吸器装着者がみんな望んでいる事です。「在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業」という立派な制度が有るから、有効に利用したいのです。
「ホームヘルパー吸引検討委員会」の結末は、条件つきで在宅療養されている。ALS患者だけに「ホームヘルパー・ボランティア等」に吸引行為が認められると言う納得できないものでした。(ALS以外の呼吸器装着者に申し訳ないと言う声が多い)
私は医療行為自体に問題があり見直す時期にきていると思います。
今は在宅療養を進めていて、介護保険制度が始まりホームヘルパーが急増しましたが、介護保険制度を使える方でも、介護保険点数を全部使っている人は非常に少ないと思います。日本人は、他人の世話になるのは嫌だ、家族の世話になるという方が多いと思います。しかし医療行為を見直せば介護保険制度を利用する方がもっと増えると思います。
介護支援サービスが進んでいる中、医療行為が足を引っ張っている格好で、ホームヘルパーを利用しにくい。
8月4日の朝日新聞に載ったように、「軟膏を塗る。湿布薬をはる。目薬をさす。飲み薬の服用を手伝う。つめを切る。市販の血圧計で血圧を測る。浣腸(かんちょう)をする」これらも介護の現場では「医療行為だからヘルパーはできない」とされているのです。 こういう事を言っているから日本の医療、福祉は遅れていると言われる。厚生労働省が昔に決めた規則をいつまでも変えようとしないからです。
デンマークの知人にホームヘルパーの医療行為について聞きましたが、24時間介護の場合はホームヘルパーを3人か4人雇い介護してもらうそうです。高い税金を納めているから、費用のすべては公費で支払ってくれる。チームケア体制がしっかりできているそうです。朝日新聞に載ったような事はヘルパーさんが行なっても法的に引っ掛からない。ガーゼ交換については重症の方以外は、医師に指導を受けて処置するそうです。
ニュージーランド在住のALS患者は、医学は遅れているが、福祉は日本より進んでいるから、今更、日本に帰って、やり直すつもりはないと言っています。
「ALS患者の吸引行為と医療行為」
「ホームヘルパー吸引行為」は身体介護ができるホームヘルパーさん全員に言っている訳ではないのです。吸引に必要な知識を一通り習得して頂き、後は実技の練習でいけます。知識と言っても簡単なもので「吸引器の取扱い・カテーテルの挿入の仕方・カテーテルと吸引器の衛生管理」です。そうしてもらわないと吸引してもらう私達も不安です。吸引に関する勉強会を開いて頂いて、各 訪問介護事業所で一人でも多く、吸引ができるホームヘルパーさんを確保して頂きたいと思っています。
現在ALS患者の多くの方は、ホームへルパーに来て頂いても、吸引はしてもらえない、軟膏を塗ってもらえない、目薬をさしてもらう事もできないなら、ホームヘルパーに来てもらっても、家族は家から一歩も出られないからと言って、ホームヘルパーを利用しない方が多い。特定疾患の患者には「介護保険制度」は役に立たないのでしょうか?
介護保険制度を使う患者は、私のように妻が仕事を持っているか、一人暮らしの方が、ホームヘルパーに吸引して頂けるように頼んでいます。
皆さん吸引行為は難しいと思い込んでいます。気管の吸引の時に呼吸停止や心臓停止の危険性があると、反対者は主張しますが、そんなに危険な行為ではないと思います。私が呼吸器を付けて7年間で吸引行為中の事故は聞いたことも、されたことも有りません。一番多い事故は呼吸器のホースが外れ死亡する方、死亡しないがホースが外れ危険な目に合う方は、数えきれない程あります。これらは病院内でおこるのが圧倒的に多いようです。管理体制がしっかりしていれば防げます。この次に痰が詰まって苦しんだ、このような事は吸引ができる介護人がいれば簡単に防げます。
うちの子供には、上は14歳、下は10歳の時に吸引の仕方とアンビューバックの押し方を教えました。最初は誰でも怖がりますが、2回〜3回すれば怖がらなくなります。慣れれば誰でも吸引できるから、ホームヘルパーさんも医師と看護師に指導を受けて、吸引に挑戦して頂きたいです。
ホームヘルパーは医療に素人だから吸引は無理という考え方を捨てて頂きたいです。吸引をするのが不安だという方のほうが、私は教え易いし、教えた通りに吸引してくれるから安心です。素人だからうまくいく場合があります。教えにくい方は吸引するのを怖がらない人、こっちが怖くなります。
吸引の仕方は十人十色で各患者ごとに違うことを覚えておいて欲しい。私は看護師に基本通りに吸引してもらうと、痙攣がひどく苦しくて仕方がありません。
主治医に聞いて、していいという医療行為は進んで協力して欲しいです。
「ALS患者の在宅支援について」
ALS患者は運動神経が侵される分、他の神経が発達してきます。お年寄りでも痴呆症の方は少なく、皆さん意識はしっかりしています。まったくコミュニケーションが取れない方も頑張っています。殆どのALS患者は健常者より、自分の意志をしっかり持ち意見を言います。介護の事は、こまかく指示しますし、手や足と頭の位置も数ミリ単位で要求します。最近はインターネットをしている方が多く、医療と介護の最先端の知識を持っているから、生半尺な気持ちで介護に入ると失敗します。ALS患者と「訪問看護師・ホームヘルパー」とのトラブルはよく聞きます。介護人にとってALS患者は手ごわい相手といえるでしょう。
ALS患者は欠点ばかりでは有りません。長所もたくさん有ります。ALS患者とうまく付合うにはコミュニケーションを上手にとる事です。それさえうまく行けば付合いやすいし、介護もうまく行きます。コミュニケーションを取れるようになるまで、時間がかかり根気のいる作業です。コミュニケーションが取れるようになれば、やりがいのある仕事だと思います。ALS患者はいつも不安を抱えていながら生活をしているから、神経質で強情な面が目立ちますが、根は弱虫で優しい方が多いです。
呼吸器装着者は24時間、目を離せません。在宅療養するのは家族に大変な負担を掛けます。それが原因で呼吸器装着を拒否する方が多くいます。呼吸器装着者には完全看護で、安全に長期入院できる病院が、殆ど無いような状態です。呼吸器を付けると皆さん、家に帰りたいと言って在宅療養を希望します。家族と一緒に過ごすと生きる意欲が湧いてくるし、家族の一員になりたいのです。家族も介護をするのが励みになると聞きます。(妻も心ではそう思ってくれていると信じています)
安心して在宅療養生活を続けるには、主治医を中心に「保健師・訪問看護師・ホームヘルパー・歯科医・歯科衛生士・理学療法士」が手を組んで、チームケア体制を確立しないと、安心して在宅療養生活はできません。長時間介護にかかわれるのはホームヘルパーだけです。訪問看護は2時間以内の看護です。ホームヘルパーはチームケア体制に重要な存在になると思います。
ALS患者は全国で約六千人いると言われています。発病してから呼吸器装着する方が年々ふえて約30%いると言われています。これからも呼吸器装着者は増え続けると思います。意思伝達装置が発達したお陰で、体の一部が微かに動くだけで、会話ができるし、友人や同病者とメールで会話が楽しめます。インターネットで生甲斐を見つけ、呼吸器装着する方が増えているのが事実です。
「訪問介護事業所にお願い」
ALS患者が条件付きで「ホームヘルパー吸引行為」が認められましたが、訪問介護事業所から「吸引はできない」と言われると諦めなければいけない、と言う弱い立場に立たされています。どうか拒否しないで、引き受ける方向で検討して頂きたいと、今日、集まってくださった皆様にお願いします。
本日は有難うございました。